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本科5年次では、小ねぎの皮むき位置を検出するシステムの研究を行いました。検出対象は葉の分岐部であり、開発したシステムでは、分岐部の繊維斜線をエッジ検出により検出しました。この手法はDNNベースの手法よりも軽量であり、演算性能の低いデバイスでも低消費電力で動作可能です。

概要

本研究では、エッジ検出を利用して小ねぎの皮むき位置を高精度かつ低消費電力で検出するシステムを開発しました。対象となるのは葉の分岐部であり、DNN(ディープニューラルネットワーク)ベースの手法と比較して軽量なエッジ検出アルゴリズムを採用しています。これにより、演算性能の低いデバイス上でも効率的に動作可能なシステムを実現しました。

研究背景

近年、農業分野における自動化技術の進展が求められており、特に植物の成長管理や収穫プロセスの自動化が注目されています。小ねぎの皮むき位置の正確な検出は、品質管理や効率的な収穫に直結する重要な課題です。従来の方法では、画像処理や機械学習を用いた手法が用いられてきましたが、これらは計算資源を多く消費し、エッジデバイスでのリアルタイム処理には適していませんでした。

研究目的

本研究の主な目的は、以下の通りです:

  1. 小ねぎの葉の分岐部を高精度に検出するアルゴリズムの開発。
  2. エッジデバイス(Raspberry Pi 3)上で効率的に動作するシステムの実装。
  3. 低消費電力かつリアルタイムで動作可能なシステムの評価。

提案手法

エッジ検出による分岐部検出

本研究では、DNNベースの重いモデルではなく、エッジ検出(Cannyエッジ検出)を用いて小ねぎの葉の分岐部を検出します。この手法は、計算資源の少ないデバイスでも効率的に動作可能であり、リアルタイム処理に適しています。

システム構成

システムは以下の主要コンポーネントで構成されています:

  • カメラモジュール:小ねぎの葉を撮影し、画像データを取得。
  • エッジ検出アルゴリズム:取得した画像から分岐部のエッジを検出。
  • 評価モジュール:検出結果の精度を評価。

実装環境

  • ハードウェア:Raspberry Pi 3
  • ソフトウェア:Python、OpenCV

実験と評価

実験設定

  • データセット:多様な小ねぎの葉を撮影
  • 評価指標:分岐部検出率(正確率)、処理時間

結果

  • 分岐部検出率:90.6%
  • 処理時間:455ms/フレーム

考察

本手法は、DNNベースの手法に比べて軽量であり、処理時間も大幅に短縮されています。Raspberry Pi 3という低性能デバイス上でも実装可能であり、農業現場でのリアルタイム応用が期待されます。

発表および論文

本研究の成果をまとめ、以下の国内論文誌に投稿しました:

スライド

論文:

卒業研究の内容をまとめて、以下の国内論文誌に投稿しました。

安藤 拓翔, 井上 優良 “エッジデバイス上におけるリアルタイム小ねぎ分岐部位置検出,” 農業情報研究, vol. 33, no. 2, pp. 73-80, July 2024. DOI: 10.3173/air.33.73

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